須賀敦子
2005.04.23 (06:30) livre, magazinetrackback(0)comment(0)
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須賀敦子さんの「トリエステの坂道」(みすず書房)というエッセーがあります。
読んだことあります?

この本との出会いは偶然で、書店でこの「トリエステ」という文字が目に飛び込んできたんです。
トリエステという街はイタリアの東のハジッコの街です。
スロベニアとの国境付近の街。

以前スロベニアにいた頃、たまにこのトリエステという街まで遊びに行きました。
北イタリアの街は比較的落ち着いた雰囲気なのですが、
この街は、どこか寂しげで、ちょっと不安にさせるところがありました。
昔は栄えていたらしいこの街は、郊外の方はやや近代的な街並みがあるけれど、
中心地は疲れた古い街でした。
そうゆう街に、ボクは惹かれるけど。

そんな街ではあるけれど、夏、海辺はとてもにぎわっていて、
防波堤のところにかなり多くの人たちが日光浴をしていました。
ボクらも彼らに混ざって、日焼けしたり、居眠りしたり。
ボクにとっては初めてのイタリアが、このトリエステだった。

クルマは確かに小さいイタリア車が多いし、
普通のパスタも料理がうまくなったの?ってくらいうまいし、
ばかばかしいくらい陽気な国境警備員もいたし、
確かにイタリアではあったのだけど、
トリエステは、ちょっと大きな地方都市、位にしか思っていなかった。

それから3年経ってから、
書店で、意外な文字が目に飛び込んできた。
トリエステって、あのトリエステか?
だれからも注目されそうもないあの街、トリエステなのか?

読んでみると、確かにそれはあのトリエステでした。
須賀敦子さんの文体は柔らかく、しっかりしていて、
まるでおばあさんから思い出話を聞かせてもらっているようなカンジです。
この本だけではなんだかわからないことが多かったのですが、
それから彼女の書いたものを次々に読みあさりました。
読むにつれて、彼女の人生やイタリアでの生活、感じ方や考え方が少しずつわかってきて、
ますます彼女に惹かれていきました。
ただ残念なことに、ボクがこの本を知ったのは彼女が亡くなったあとでした。
もう今ある本を読み終えてしまったら、それでもう終わりなのだなぁ、と。
トリエステの街のような取り残された無力感のようなものを感じましたね。

ボクの表現が暗いんですけど、お奨めです。イヤホントに。
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